多く返し過ぎ!?債務整理で時効前に過払い金を取り返そう!

債務整理の役割は借金の減額だけではない

借金問題とは?

銀行などの金融機関や消費者金融などの貸金業者からお金を借りる際には、融資に必要な契約を締結します。一度契約が締結されると、債務者は借りたお金を返済するために契約によって決められた金額を返済し続けなくてはならない義務を背負います。

一般的に、借金問題はこのように契約によって決められた融資の返済を、債務者の意思だけでは解決することができなくなることを意味します。言い換えれば、契約関係が存在しない口約束だけのお金の貸し借りに関しては、法律的な立場から借金問題とは言えないことになりますので知っておきましょう。

滞納だけが問題なのか?

借りたお金を返済することができなくなり、長期的に滞納してしまうと強制的に返済を求められたりする事態にまで発展します。ですから、法律的に債務整理をする時でも基本的には債務の滞納に関する延期処置や、借金の減額の処置を合法的に行うことを中心に手続きをすることが多いです。

しかし、現実的に弁護士に対して相談できる案件はこれだけではありません。もう一つ重要になる借金問題に、過払い金という問題があります。過払い金は、融資の契約がきちんと成立しているにもかかわらず、債務者の返済する借金の金額が多くなっている問題のことを意味します。

普通、融資の契約は貸金に関する法律によって作られるものなので、こうした法律に従って融資の契約をする以上は間違った返済をすることはないはずです。それにもかかわらず、債務者側が無意識のうちに必要以上のお金を返済してしまう問題が生じています。

こうした特殊な問題に関しても、広義で借金問題として扱うことが可能です。相談に乗ってくれる弁護士の中には、過払い金専用の相談窓口を準備しているくらいなので、自身がそうした問題に巻き込まれていないかを調べることが大切です。

自覚できない過払い金問題

過払い金問題の一番の難点は、被害にあっている被害者本人がその事実に気づくことがとても難しい点です。法律上では、一見して正しい契約をしているように見えるので、債務者本人は自身が債権者に対して返済しなくても良いお金を返済し続けているという自覚がほとんどありません。

事実、過払い金問題に関しては実際に相談にやってきている債務者以上に、潜在的な被害者の数が多いと法律家で判断されています。これには、過払い金に関して自覚がしづらい下記の問題点があるからです。

  • 複雑な利息の計算
  • 法律のわかり辛さ

過払い金が生じる契約で、決定的に他の融資の契約と異なっている点が上記の二点です。そもそも、過払い金と言うのは複雑な金利と利息によって生じるグレーゾーンの問題と密接に関連しています。グレーゾーンはそのままの意味で、法律的には黒ではないけれど、白でもない非常に曖昧な範囲での問題のことを意味しています。

専門の弁護士の解釈であっても曖昧な部分が多いため、債務者自身が気づけなくて当然だと言えます。ただ、近年ではこのグレーゾーンの問題点は完全に法律的にも無くなっていますので、グレーだという理由で債権者側が過払い金の責任から逃れることはできません。

また、法律のわかり辛さも債務者に苦い問題を押し付けている一因になっています。日本の融資の契約と言うのは、大きなお金を貸す時と小さなお金を貸す時でそれぞれ別の法律に基づいて融資をしなくてはいけません。

過払い金の問題は、この内でも小さな融資の際に適用される法律の問題であるため、法律的なわかり辛さも相まって問題を処理するのが遅れるという事情もあります。

あってはならない金利と利息の問題

悪用された法律

過払い金の問題が債務整理、特に任意整理で解決することが可能なのは法律的にあってはならない金利と利息の問題が存在していたからです。

  • 出資法
  • 利息制限法

現在では、消費者に対して小さなお金を貸す際には利息制限法と言う法律を適用しなくてはいけません。利息制限法は、それぞれの消費者が借りる金額によって上限の利息が決まっており、消費者が必要以上に利息の負担を強いられないように考えて規定されています。

しかし、過払い金問題では利息制限法よりも金利が高くなる出資法が参考にされていて、利息制限法と比較して上限金利にかなりの差が生じてしまっていたのです。この差がグレーゾーンと呼ばれていて、従来までの法律では取り締まることができなかった過払い金問題の原因でした。

ただ、こうしたグレーゾーンによる問題点が社会的にも取り上げられるようになってからは、行政や弁護士協会全体で悪質な過払い金問題を撲滅しようとする動きが出てきました。

そのため、2010年に過払い金問題がこれから生じないように貸金業法と言う法律が改正され、債務整理を利用することで問題を解決できるようになったわけです。これによって、債務整理の中でも任意整理を使うことで過払い金問題に巻き込まれた人は安い費用で債権者からお金を返してもらうことができるようになりました。

少額融資の問題

金利と利息の法律に関して誤解をしてはいけないのは、これらの問題は少額融資に関連する問題であるということです。例えば、銀行などの金融機関も消費者に対して融資を行うことが可能ですが、銀行と言うのは貸金業者と同じ法律的な規範でサービスを提供しているわけではありません。

銀行は、銀行法と言う独自の法律的な規範によってサービスを提供していますので、金融機関としてサービスを提供している以上は過払い金問題が起こることはまずありません。

一方で少額融資で適用される法律は銀行法ではなく、貸金業法と言う少額融資に関連する法律に限定されています。これは、融資の契約を行った人が本当に過払い金問題に巻き込まれているか、または解決するための法律を利用できるかの一つの目安にもなるため忘れないように覚えておきましょう。

過払いでは早急な対応が大切!

ただ、過払い金問題では早急に弁護士に対して相談することが大切であるということを理解しておかなくてはいけません。普通、自己破産などのような債務整理の手続きを使うときには、その人が本当に自己破産の適性を満たしているのかを調べなくてはいけませんよね。

特に、自己破産のように裁判所が関わって時間をかけて審査を行う際には、債務者側も債務整理のための準備をして、ある程度の時間を覚悟して取り組んでいかなくてはいけません。一方で、実は過払い金問題に関してはこのような通常の債務整理の問題と異なって時間を長くかけることができないケースが存在します。

これは、過払い金の返還請求に伴う権利が、実は時効の対象と判断されてしまっているからです。民法上では、相手に対して請求できる権利には時効の規定が適用されるのですが、過払い金の返還請求にも時効の規定は適用されてしまい、調べるのに時間をかけすぎると時効が成立してしまって過払い金を返還してもらうことができなくなるリスクがあります。

一般的には、過去に取引をした時点から10年で時効が成立してしまいますのでそうなる前に自身に過払い金が存在しないかを必ずチェックしておかなくてはいけません。特に、過払い金問題は出資法と利息制限法のグレーゾーンを利用していた貸金業者の問題であるため、一度でも貸金業者からお金を借りたことがある人は弁護士を通して必ず調べておくべきでしょう。

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